ストーリーの構成文化財 梵鐘
観世音寺 梵鐘
観世音寺の梵鐘は、「戊戌年」(698年)、「糟屋評」(現在の福岡県粕屋郡)の銘がある京都・妙心寺の梵鐘と兄弟とされる7世紀末のものです。これらの梵鐘は同じ鋳型で造られたとみられており、妙心寺の梵鐘は洗練され完成された形であるため、観世音寺梵鐘の方がより古いと言われています。歴史書『日本書紀』には、682年に筑紫大宰・丹比嶋が大鐘を貢上したという記事もみえ、観世音寺の鐘を指すと考える人もいます。
観世音寺の鐘の音は、大宰府に左遷され、「府の南館」に住まう菅原道真の耳にも聞こえていました。家を出ることもできなかった道真は、漢詩「不出門」のなかで、「都府楼はわずかに瓦の色をみ、観音寺はただ鐘声を聴くのみ」と詠んでいます。
1300年余の大宰府の歴史を見守ってきたこの鐘は、いまも現役の鐘です。日本には大みそかには除夜の鐘をつき煩悩を払う、という行事があり、この鐘をつくため多くの人が訪れます。
(現在この梵鐘は、九州国立博物館で展示されています)
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【国宝】
観世音寺鐘楼の日本最古の梵鐘です。菅原道真が漢詩「不出門」で詠じているまさにその鐘です。現在も使用されており、その音は古代に響いたものと同じです。