子等を思ふ歌(巻5-802)
瓜食(は)めば 子ども思ほゆ
栗食(は)めば まして偲ばゆ
いづくより 来たりしものぞ
まなかひに もとなかかりて 安欲しなさぬ
反歌
銀(しろがね)も 金も玉も 何せむに まされる宝 子にしかめやも
訳:子どもたちを思う歌
瓜を食べれば、子どもを思いだす。栗を食べれば、いっそう偲ばれる。
どこより来たものだろうか。(子どもの姿が)目の前にしきりにうつって、安眠ができない。
反歌(応えて詠んだ歌)
銀も金も宝玉も、いったい何になろうか。どんなに優れた宝も、子どもに及ぶものはない。
作者: 山上憶良(やまのうえ の おくら)
備考: 作者は、遣唐使の経験もある人物です。このとき筑前国の長官(守)でした。